
京丹波町
癌封じ茶
悲運の皇子にまつわる茶
京丹波町出野にある長源寺は平安時代に創建された臨済宗の寺院で、文徳天皇の皇子である惟喬(これたか)親王が癌封じの秘伝を授けたという言い伝えが残る。惟喬親王は皇位継承争いに破れて出家し、諸国行脚の旅に出た。長源寺の伝承によればこの地に庵を結び、観世音菩薩を祀って開基となった。のちにこの地を去るにあたり、村人たちに世話になったお礼として癌封じの秘 法を授けたという。長源寺の境内には惟喬親王の尊牌が祀られており、この伝承から〝癌封じ寺〞として 人々の信仰を集めるようになった。現在でも癌封じの寺として知られ、毎年7月の第1日曜日に開催される「観音まつり(癌封じまつり)」では、癌封じの祈祷が行われ、参詣者に「癌封じ茶」がふるまわれる。
癌封じ茶はクマザサ、柿の葉、ドクダミ、枇杷の葉といった健康によいとされる様々な効能を持つ葉をブレンドした健康茶。観音まつりのときのみ供され、飲むことができる。以前は非常に飲みにくいものだったが、改良を重ねて今は美味しく飲みやすくなったという。まつりでは、そうめん流しや福引きも行われ、願かけの人々でにぎわい、京都府内からはもちろん、全国から1,000人を超える参詣がある。