なりたい自分を叶える移住:
農業の喜びと地域の絆で彩られた人生の新たな章
今回は南丹市美山町に移住された雫 耕輔さんにお話を伺いました。人生におけるおもしろさを求めて美山町へ移住した雫さん。
移住のきっかけや移住農業の魅力、豊かな地域コミュニティについて語っていただきました。
雫 耕輔さん
1977年、大阪府高槻市出身。もともとは都会でアパレル関係の仕事に従事していたが、農業部門への配属をきっかけにおもしろさを求めて農業の道へ。2022年7月にSHIZUKUFarmを設立し、南丹市・美山町に移住。無農薬でお米やさつまいもを大切に育てている。
南丹市美山に移住されたきっかけは?
雫さん:前職で農業事業部に配属されてから約4年間、京都市内から美山に通いながら農作業を経験しました。
働いているうちに、農業であれば自分でも独立できそうという気持ちが芽生えるのと同時に地域の方々とも仲良くなっていて、とても住みやすい場所だと感じたことがきっかけです。
また、美山での生活がコスト面においても魅力的であると感じました。例えば住宅購入においても京都市内と美山では大きな違いがあり、自身のキャリアプランにおいてローンを組む気が無かったなかで、美山であればローンを組まずに住宅が購入できるという点も非常に大きかったです。

前職で農業部門に配属された時点では、将来的に移住するということは考えていましたか?
雫さん:いえ、昔から独立して自分でやるということには興味があったのですが、農業部門に配属されたタイミングでは一切考えていませんでした。
農業部門ではどのくらいのタイミングで移住を検討されたのですか?
雫さん:4年目ぐらいです。会社に雇用されていることには安心感があったのですが、農業に携わるなかでおもしろさを求める気持ちが湧いてきました。
安定とおもしろさを天秤にかけた時、今後の人生においてはおもしろさを大切にしていきたいと思い移住を考えるようになりました。

雫さんが考える農業の魅力•おもしろさについて教えてください
雫さん:農業の魅力は自分で作り上げていくプロセスにあります。
農作業は流れ作業ではなく、答えがあるようでない状況で、工夫を凝らしながら進めていく過程が楽しく、自身に合っていました。自分で農作物をつくり、それを食べるという経験は、農業を通じてしか得られないものであり、非常にやりがいを感じています。
一方で、農業は販路の開拓や差別化が求められる一次産業であり、これを楽しさに変える難しさがあります。特に米などの競争が激しい分野では、どう差別化し、独自の価値を打ち出していくかが重要です。売先の確保や単価の維持、専業での営みの難しさもありますが、これをクリアすることで、一層農業の楽しさが広がると考えています。
独自の価値を打ち出していくうえで大切にしていることはありますか?
雫さん:多様な方々と連携していくことが大切だと考えています。
つい先日も地域の方々が自分の想いを語り、繋がる場である「亀ニケーション(※1)」という交流会に参加したのですが、そこで、「さつまいもを使った加工品を作りたい」という自身の想いを伝えたところ、関東でカレー事業を営まれている方を紹介していただきました。
最初は「さつまいもで美味しいカレーを作れるのかな?」と思ったのですが、関東の方、ましてや加工品事業を営まれている方と出会う機会はない、自身の想いを叶えるチャンスだと思い、協力をお願いすることにしました。そして、何度か打ち合わせを重ねた後に「農家が作った熟成安納芋カレー(※2)」を販売することができました。
自身だけの力では決してカレー食品をつくることはできなかったので、地域の方々の応援のもと「さつまいもを使った加工品を作りたい」という想いを叶えることができ、非常に嬉しかったです。

※1 南丹市・亀岡市に暮らしている方や興味のある方が交流し、つながる場。月1回のペースでサンガスタジアムのコワーキングゾーンを中心に開催。どなたでも参加可能なので、興味のある方は下記のリンクを要チェック。
https://www.facebook.com/groups/824102135276508/about
※2 現在はオンラインサイト「SHIZUKU FARM」にて販売中。
https://shizukufarm.base.shop/
南丹市美山町の魅力について教えて下さい。
雫さん:都会と比べて横のつながりがあり、みんなが仲良く生活している点が魅力だと思います。私自身も移住者でありながら地元の方々には温かく受け入れてもらい、可愛がっていただいています。
「横のつながりがある」という部分について、何かエピソードなどあればお聞かせいただけますでしょうか?
雫さん:真っ先に思い浮かぶのは地域の消防団です。消防団に入る前は60歳以上の方々とのつながりしかありませんでした。
しかし、消防団に加入して色々と活動していくなかで一気に横のつながりが増えていきました。特に同世代の方々とのつながりが生まれ、新しいコミュニティができました。
都会では同じ世代の人が近所にいてもなかなか繋がりが生まれないことがありますが、消防団を通じて横のつながりができたことは新たな人間関係を築いていくうえで非常に意義深かったです。

地域の方々と良い関係を築くうえでどのようなことが大切だと思いますか?
雫さん:地域の活動に積極的に参加し、貢献していくことが大切だと思います。
地域には様々な役割が存在し、移住して1年目に「担い手がいないから」といって副区長の役をお願いできないかという相談をいただきました。移住したばかりの者がお受けしていいのかどうか悩みましたが、地域の方々とお互いに力を合わせていくことで良い関係を築けると思いお受けしました。
積極的に地域の活動に参加することで地域に暮らす様々な方とつながりを持つことができ、結果的に地域社会に溶け込むことができます。
最後に移住を考えている方へのアドバイスをお願いします。
雫さん:事前の情報収集が大切だと思います。
り、事前に知っておいた方がいいことがたくさんあります。
まずは実際に移住された方の話を聞いてみることをおすすめします。もし、身近に移住された方がいないという場合は、ぜひ検討している地域の行政の方々に相談して下さい。
私自身も行政の方々には非常にお世話になっており、生活をするうえでも農業を営むうえでも大きな助けになっております。南丹市の職員の皆さまはとても親身になって話を聞いて下さるので、南丹市への移住を検討されている方はぜひ連絡してみて下さい。

雫さんのお話、いかがでしたでしょうか。人生の在り方や農業の魅力、地域との関わり方などについて具体的なイメージをお持ちいただけたのではないでしょうか。
雫さんのようにおもしろい人生を歩んでいきたい、農業に携わりたいという方はぜひ一度、南丹市や美山町に足を運んで地域の方や行政の方とお話をしてみてはいかがでしょうか。
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