祖父からの事業承継をきっかけに京丹波移住:
農業・食で京丹波を盛り上げる
目次
今回は京丹波町へUターンされた野村幸司さんにお話を伺いました。
Uターン後は祖父から事業承継をして農業をされています。地元京丹波への思い、若い視点の農業への考え方など、熱い思いを語っていただきました。
野村 幸司さん
1993年生まれ。京丹波町出身。大学卒業後に東京の食品卸の商社営業を経て、2017年に京丹波町へUターン。京都で野菜の流通業に従事したのち、祖父が始めた農業を継ぐ形で2020年に独立。京野菜や黒枝豆の一大産地でありながら、農業の担い手不足が進む京丹波町で農業に邁進中。
祖父からの事業承継
Uターンで京丹波町へ戻ってこられたとのことですが、元々戻りたい気持ちがあったのでしょうか?
野村さん:大学を卒業してからまずは都会に出て社会経験を積もうと思って、2年ほど食品関係の商社で働いていました。その時から漠然といずれは京丹波町へ戻りたいなと考えていました。
Uターンをされたきっかけがあったのですか?
野村さん:僕の祖父が農業をしていたのですが、ある時祖父から「もう若い人全然おらへんわ。65歳でも若い部類に入る。」と聞いて、20代、30代で農業をしている人は当時少なく、この先京丹波町の農業はどう維持されるのかなとか色々考えることになりました。地域の課題を目の当たりにして、今の自分に何ができるのだろうという思いもありましたが、2017年にUターンしました。
Uターン後はすぐに農業を始められたのですか?
野村さん:Uターン後はまず農業関係の商社に入って、農業の流通について勉強しながら週末に農業に携わっていました。その後、商社を退社して本格的に農業を始めていきました。本格的に農業を始める前にいろんな角度から農業を知ることができたので、自分にとって良い時間になったなと思いますね。
農業を通じた京丹波の暮らし
現在されている農業について詳しくお話いただけますか?
野村さん:京丹波町の特産品になっている黒枝豆、伏見とうがらし、京かんざしなどの伝統的な野菜を継承して徐々に栽培数を増やしています。また、新しく【京丹波ラディッシュ】というブランド野菜を作り、新しい京丹波町の特産野菜にしようと思い活動しています。京丹波ラディッシュは通常のラディッシュよりもサイズが大きいのが特徴です。ラディッシュは夏以外の季節に収穫可能で、他の野菜と比べると農作業がしやすい大きさなので、うちで働いているのは女性スタッフの方が多いですね。

女性スタッフの方が多いというのは、働きやすい職場作りに何か工夫されているのでしょうか?
野村さん:うちでは農業に関わりたい方や、地域のママさんが約20名スタッフとして在籍しています。子育てをされているスタッフさんの一例ですが、子ども園にお子さんを預けてからお迎えまでの9時半から3時半といった隙間時間で働けるような雇用の仕方をしています。参観日やお子さんが体調を崩した時に、スタッフみんなで「お子さん優先で!」という雰囲気づくりをしながらとにかく女性の皆さんが働きやすい場を作っています。特に農業でそういう雇用を増やしていくことで、農業で働くことも選択肢の一つに入っていければと考えています。また副業兼業で働くスタッフも積極的に雇用しています。平日はうちのスタッフとして働き自分で野菜を作って、週末は貸店舗で自分の作った野菜を材料にして定食屋さんを営業されている方や、蕎麦屋さんを営業されている方もいます。

素晴らしい試みですね。なかなかできることではないと思いますが、どのような思いで始められたのですか?
野村さん:京丹波町では自分らしさを模索して、チャレンジできる環境の中で働き方一つにしても色んな選択ができると思っていますし、自分自身もそのチャレンジを支えられたらと思い取り組んでいます。特に専業農家として働いていくのはものすごくハードルが高くて、僕自身は祖父から事業承継したので、地元の農家さんとの繋がりや地元ならではのルールを知っていた分、農業をしやすい環境が整っていました。でも農業って閉鎖的な部分がまだまだ多く、農業に関する専門的な知識経験もないと、移住して農業をすることはすごくハードルが高いものだと感じています。農業の経験をしながら地域との橋渡しもできたらいいなと思い、新規就農希望の方を一旦うちで受け入れて、自分がどういう農業を目指してやっていきたいか、どのように販路を確保するかなど、農業を事業として成功してもらうためにサポートも始めています。

これからも京丹波を盛り上げていくために
野村さんがUターンされて約7年経過しますが、京丹波町が変わったなと思うところなどありますか?
野村さん:Uターンしてから京丹波町の雰囲気をずっと見てきたのですが、Uターンする前に地域活動とかで地域に関わった時は、周りには若い20代30代の人はほぼいなくて、地域のイベントに積極的に参加している人って結構マイノリティな感じでしたね。けれど、コロナ禍を経てこの数年の間にIターンやUターンの人、年齢層で言うと20代30代がすごく増えたなという印象ですね。
マイノリティだったのがマジョリティになってきていて、その様子を見ている地域の人たちも頑張っているとか面白そう、楽しそうやなみたいな「混ぜてよ」ってポジティブな雰囲気になってきているなあっていうのはすごく肌で感じています。
京丹波町を盛り上げたいという思いでUターンされましたが、今後の展望を教えていただけますか?
野村さん:僕の仕事は農業ってジャンルですけど、農業だけじゃなくていろんなジャンルの人が集まってきて、一緒に面白い事ができれば嬉しいですね。町内のマルシェの企画にも携わっていますが、多様な人たちが一緒になって一つの事に向かって進むことで、結果的に京丹波町が盛り上がると良いなと思います。
農業の話だと、農業の担い手不足によって活用されていない農地が増えているので、このような土地を活用したいなと考えています。農業には色んな課題を感じているので、課題解決に向かいつつ京丹波町全体の農業が盛り上がるように貢献していきたいです。
野村さんのお話、いかがでしたでしょうか。
20~30代の人が増え、新しいことにチャレンジしやすいという町の雰囲気が伝わってきました。
農業を始めたい、少しでも農業や食に携わってみたいと考えている方や新しく何かを始めたいという方にとって、参考になるお話だったのではないでしょうか。
農業に関するヒントを探したい方は京丹波町に足を運んでみてください!
野村さんを始めとする生産者の方々とお話をしてみてはいかがでしょうか。
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