子育てに安心感を、心と暮らしにゆとりを
南丹市の自然豊かなライフスタイル
大学入学を契機に南丹市へ移住し、現在もその地で暮らす貴志さん・葉音さん。プロの木工職人としての仕事に加え、公務員として地域貢献を続ける中で、3人のお子さんとどのように自然豊かな環境で成長を支え合っているのでしょうか。移住後の生活を通して感じる地域とのつながりや、家族生活の充実ぶりについてお話を伺いました。
古川貴志さん・葉音さん
夫の貴志さんは木工職人として創作活動に取り組まれ、妻の葉音さんは公務員として地域に貢献。3人のお子さんを育てながら、自然豊かな環境でゆったりとした生活を満喫中。
南丹市に移住されたきっかけは?
貴志さん:私たちは南丹市にある大学の同級生で、卒業後、私が京北町、妻が南丹市で働くことになりました。そのため、卒業後もそのまま南丹市に暮らしています。
お二人はもともと東京の八王子や大阪の枚方といった都市部に近い人口の多い街で暮らしていたということですが、園部での生活環境にギャップを感じることはありませんでしたか?
貴志さん:最初は、交通手段の違いや街灯の少なさによる地域の暗さに驚きました。
葉音さん:東京とお店の数が全然違ったので、どこで買い物をしたらいいのか迷いました。
最初にそのようなギャップを感じた中で、現在、逆に魅力だと感じる点はどのようなところですか?
貴志さん:私自身がものづくりを行っている観点からですが、都市部に比べて広い住環境で暮らせるため、材料を保管するためのスペースを確保しやすい点が魅力的です。また、隣の家と言っても実際には距離感があるため、機械を使った作業をしても騒音トラブルになりにくいです。これは、ものづくりやDIYに関心のある方にとって大きな魅力ではないかと思います。
もう1点、先日の台風(令和6年台風10号)では、意外にも風が一切こなかったですね。これは近所の方から「ここは風に強い土地だ」と聞いて実感したのですが、昔からの集落は、先人たちが自然災害の経験をもとにリスクが低い場所を選んで形成されてきたと思います。絶対に大丈夫という保障はありませんが、個人的には乱開発された新興住宅地都市部に比べて信頼できるのも魅力だと感じています。
葉音さん:自分らしくいられるという点が魅力です。東京で暮らしていたときは、見知らぬ人との距離が近く、他人に迷惑をかけないようにというマインドが働いて縮こまって過ごしていましたが、南丹市では物理的な距離にも余裕があり、自分らしく生活できています。また、生活のリズムがゆっくりであるという点もマイペースな私にはとても合っています。東京では急いで駅に向かい、10分間に2本~3本の電車を逃さないようにするのが当たり前でしんどかったですが、こちらでは電車の本数が30分から1時間に1本と少ないことで、逆に急がずに済み、電車を待つ間に考えごとをすることができたり、時間に追われることがありません。
逆に不便に感じていることや困ったことなどはありますか?
貴志さん:現状、私たちが暮らしている園部については特に困ることはありませんが、強いて挙げるとすれば濃い霧ですね。
葉音さん:冬に洗濯物を干しても乾かないというのが衝撃的でした。関東はからっ風なので。移住を検討される際は、ぜひ季節ごとの違いも含めて実際に足を運んでみることをおすすめします。
子育てするうえでの環境はいかがですか?
貴志さん:自然と触れ合う機会が豊富であるという点は魅力だと思います。近くの川で川遊びをしたり、メダカや川魚が泳いでいるのを見たり、蛍を楽しんだりすることができるのは大阪の枚方で育った私自身も子どもの頃には体験できなかったことですので、一緒に楽しめて嬉しいです。
一方で枚方で育ってきた私にとって、自然の中でどのように遊ばせたら良いのか分からないため、地域の方々に積極的にアドバイスを聞く必要があります。また、枚方と比べると公園や遊具の充実度がどうしても低く、その点は少し不便だとも感じています。
葉音さん:子育てすこやかセンターの存在は非常に頼りになりました。未就学児を連れて親子で遊びに行ける場所で、私は毎日通っていました。当時、そこには現役を引退された保育士さんが常駐しており、子育てで困っていることや相談があるときには、その先生に気軽に相談できたので、とても助かりました。お母さんが、子どもが小さい頃に孤立せずに済む居場所があるというのは、非常に大きな支えだと思います。
逆に子どもが中学生や高校生になったとき、より遠方の学校に通うことになり、街灯が少ない中での夜間の帰宅について「大丈夫だろうか」と漠然とした不安を感じています。子どものライフステージに応じた環境や選択肢については、移住前に慎重に検討する必要があると思います。

最後に移住を検討されている方にアドバイスをお願いします。
貴志さん:移住する際に地域との関わりを持たないことはトラブルの原因になることがあるので、「地域との関わり」という点について十分に検討していただければと思います。
また、検討においては、実際にその地域に住んでいる移住者の話を聞くことが最も効果的だと思います。
南丹市への移住を検討される際には、ぜひ森の京都DMOを通じて私に相談していただければと思います。地域に暮らす方にとっては当たり前のことでも、移住者にとってはそうでないことがたくさんありますので、地域の実際の生活状況やよくある問題、習慣などの生の情報をお伝えできればと思います。
貴志さんにもご協力いただけるとのことで大変心強く感じています。参考までに移住後に地域の方々との関係を深めていくうえで大切にされていることについても教えていただけますでしょうか。
貴志さん:分からないことや困ったことについては、気後れせずに自ら積極的に質問し、教えてもらうことがとても重要です。地域の方々の立場で考えると、移住者がどのようなことに困っているのかを理解するのは難しいですし、田舎では年配の方が多く暮らしているため、若い世代の感覚やコミュニケーション方法が理解されにくい場合があります。そのため、移住者側から積極的にコミュニケーションを図り、地域の慣習やルールを理解し、信頼関係を築いていくことが非常に大切です。
