【ぼたん鍋】
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美しくて美味しい牡丹の花
冬も深まり身体が冷えてくる頃になると、食べたくなるのが猪の肉をたっぷりの野菜と一緒に煮込んだ鍋。日本では古くから狩猟で得た猪や鹿の肉が食されてきた。
猪は縄文時代から食べられ、具材を加えた鍋料理は日本各地にみられる。仏教伝来以降は肉食が敬遠されたが、まったく食べなくなったわけではなく、江戸時代にも〝山鯨〞と言い換えて食されてきた。「猪鍋(ししなべ)」ともいわれ、猪肉を薄切りにして皿の上に盛りつけるさまは、さながら美しい牡丹の花のよう。その見た目から「ぼたん鍋」と呼ばれている。味噌仕立てで食べられることが多く、たっぷりの野菜と一緒に煮込むのが一般的。味つけは地域によって様々で、それぞれ異なった味わいがある。獣臭いと敬遠される向きもあるが、味噌で煮込むことで独特の臭みがやわらぐ。他の肉と違って煮込むほどにやわらかくなり、少々煮詰まっても美味しく食べることができる。猪肉は豚肉と似ているが、より脂が少なく淡白な味わいが特徴。ビタミンや鉄分など栄養価が高く、低カロリー、低脂質であることから人気が高まっている。獣害対策の切り札としても注目を集め、各地で郷土料理として観光資源化する動きが増えている。11月になるとイノシシ猟が解禁され、京都でも丹波の各地でぼたん鍋が登場する。ぼたん鍋は古くから丹波の食文化の中に根づいており、冬ならではのごちそうといえる。