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丸山染工

森の京友禅和紙

丸山染工 Maruyamasenko

丸山染工

多くの可能性と魅力を持つ、京友禅和紙。

京友禅和紙をつくる「丸山染工」は、南丹市八木に広がる山間盆地を流れる大堰川(桂川)のほとりにある。眼の前には、広大な稲田の風景と、その先にある三郎ヶ岳の連なる山々が見える見晴らしの良い場所だ。
 
丸山染工は、元禄時代に宮崎友禅斎が考案したとされる京友禅を30年ほど前から、京友禅和紙という形で提供する会社だ。もともと生地に京友禅を染色していたが、社長である丸山さんがその技術を活かして生地から和紙に切り替えてオリジナルの友禅柄を制作し、千代紙や友禅和紙として販売。折り紙や貼り箱、重箱、工芸品などに幅広く使用されている。いまでは、丸山さんも現役を退かれ、工場長である秋山さんが受け継いでいる。
 
しかし、時代の流れやリーマンショックの影響など、需要の変化に伴い、今まで卸しのみであった販売を自社でもホームページを開設するなどして、直接販売の手段も取り入れるようになった。そして、直接販売の姿勢として、今までの柄を頑なに守って売る、というスタイルではなくお客さまの要望をしっかりヒアリングし、柄のデザインや色展開の提案まで行うオーダーメイドの和紙づくりを提供している。

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そんな中で、今回の森の京都オリジナル京友禅和紙づくりが実現した。
絵柄は、森の京都エリアにあるツツジ(亀岡市の花)、キキョウ(福知山市の花)、イチョウ(京丹波町の木)、ブナ(南丹市の木)、いかる(綾部市の鳥)をモチーフにして、イラストレーターが書き起こし、それをもとに、大きな紙面にするためのパターン調整を行っていただき、色検討のために何種類もの配色パターンを提案いただいた。そして最終的に、金色を軸とした4色展開のオリジナル京友禅和紙が完成した。
しっとりとした手触りの良い和紙に、きらびやかな金と、鮮やかな赤や紺の顔料インクがしっかりのった、非常に上質な仕上がりとなった。

丸山染工
丸山染工
丸山染工

一般的な商業印刷の場合、基本的にインクは紙に染み込むか、非常に薄い状態で紙面に定着するため、平面的な仕上りとなるが、丸山染工での手法の場合、紙の上にインクがたっぷり乗った形で定着し、立体感のある仕上がりとなるので印象がまったく違う。また、すべて手刷りであるため、僅かではあるが不均一性があり、それもまた良い味となっている。
 
実際に刷り作業を行う工房では、職人達が一枚一枚、1色ずつ刷作業を手分けして行う。この工房では、一度に約240枚を刷ることが出来るが、例えば、一つの作品をつくるために6色のインクを使う場合、合計1,440回もインクの乗った版をセットし、ヘラで刷り、版を外す、という作業を行うので、常に、早く正確な作業を求められる。この日も、工房の中はピリピリとした緊張感があり、取材とは言え中をウロウロするのが非常に申し訳ないほどだった。

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そして、前工程となる色づくりは、すべて秋山さんが一人で行う。一つの作品に6色使う場合でも、色の組み合わせを変えればそれだけで何百通り、何千通りも可能性がある。それを頭の中でシミュレーションしながら色を調合していく。液体のインクは紙にのって乾くと印象も変わるし、本当の仕上りは刷ってみるまでわからない。調合は、作品の完成度を決める一番重要な部分で、技術と経験が必要となる難しい仕事だ。

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このレベルの和紙を、オーダーメイドで作っていただけるということは、オリジナルのツール、商品開発、企業用のノベルティ用途など、多くの可能性と魅力を持っていると感じた。
 
丸山染工でつくられる京友禅和紙は、プリンターで出力するように当たり前に出来上がるものではない。1枚の美しい紙をつくるために、これだけのバックボーンがあることを知っていただき、是非、実物を手にとって見ていただきたい。紙に対する価値観を変えてしまう魅力が、そこにはあります。

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