森の京都 森の京都を深く知る

陶房 呑

森の京都 四季の絵皿

陶房 呑 Tobo Don

陶房 呑

ここでしか作れない夫婦の器。

陶房 呑(どん)は、主道から少し奥まった山間にあり、その外観は「森の京都」のロゴマークにそっくりな古民家だ。築200年を越える建物で、以前は茅葺きでされていたが、お願いしていた職人さんが他界されて、今はトタン屋根にされたそうだが、それでも十分京都の原風景を感じさせる趣がある。
 
1981年に、岡田保博さんがここ京丹波町水呑(みずのみ)に開いた自宅兼工房で、1987年頃から奥様の八重子さんと一緒に陶器を作られている。

陶房 呑

今回、森の京都のためにオリジナルで制作していただいた「森の京都・四季の絵皿」は、「粉引草花文(こひきそうかもん)」という技法で作られたもので、保博さんが鉄分を多く含んだ赤土からもとの皿をつくり、八重子さんが絵付けを施し完成したお皿だ。
 
テーマとしては、森の京都ロゴに見るような京都の景色を、四季折々、お花も添えて表現していただくという内容で、岡田さん自身も「自分達の住んでいるところや風景が、まるで森の京都ロゴみたいやなぁ、なかなか良くできたロゴやなぁ、とずっと思っていたので、今回、声をかけていただいてとても縁を感じる」と教えてくれた。
 
まさに、この「陶房 呑」の春夏秋冬の景色をそのまま写し込んだような、色彩豊かなお皿に仕上がっている。

陶房 呑

もともと保博さんは、京都市内に住み清水焼の窯元で修行を積んだ後、自分の工房をつくるために、ここ京丹波町に移り住んだ。当時は、おくどさんがあり、お風呂も五右衛門風呂、水も山水での生活で、今も色々と手を加えながら生活をしつつ、制作に取り組まれている。

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保博さんは、もと牛小屋だったいう建物を作業場に改装し、そこで日々陶器をつくられていて、全国各地から手に入れた原料の土を、オリジナルの配合でブレンドしていく。粉引草花文をはじめ、磁器やろくろを使った陶器もつくられるそうで、ろくろを使って制作する際に使う器に角度をつけるためのヘラだけでもかなり種類があるが、梨や桜の木からすべて自分でつくる。これだけでなく、保博さんが使う道具はほぼすべて自分でつくっている。既存の道具では自分の思っている形にはならないそうで、ものづくりへの妥協のなさがうかがえる。

陶房 呑
陶房 呑
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そして、すぐ隣の建物に八重子さんの作業場がある。
八重子さんは、もともと油絵をされていたが、陶芸を学ぶために保博さんも通われた京都府立陶工高等技術専門校に。その後、保博さんとともにずっとここで制作を続けられている。
 
陶器の制作もされるが、絵付けはすべて八重子さんが行う。絵付け用絵の具はすべてオリジナルで調合し、1色ずつ乳鉢でつくるため、描き始めるまでの下準備に時間を要する。そして、描き始めると下絵無しでさらさらと描いていく様子は流石。絵付けの筆は陶器用で、京都市内でも限られたお店でしか手に入らないそうで、それでも作業場には様々な種類の筆がずらりとならぶ。

陶房 呑
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今回の取材を通して、「古民家暮らしでの制作もなかなか大変ですよ」と言いながらも、終始笑顔のお二人からは、自分達のやりたかった仕事を、自分たちの住みたい場所で続けておられる充実感と、温かいお人柄が作品づくりににじみ出ているなと感じた。
 
今回取材にうかがったのは4月だが、春が一番楽しみな季節だそうで、ふきやわらびなどの山菜や、裏山に自生しているわさびを収穫できるなど、ここでしか味わえない山の幸が本当に豊富だ。

  • 陶房 呑
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取材後、ここで採れたわさびを使った自家製いなり寿司をごちそうになったが、程よい甘さの柔らかなおあげとともに、新鮮なわらびの葉や茎のシャキッとした食感がとても良く合い、非常にサッパリとした後味で、汗ばむ陽気となったこの日にはまさにぴったりのご馳走でした。
 
この場所、この古民家、そして、このお二人でしかつくることのできない「陶房 呑」の作品を、皆さんにもぜひ手にとっていただきたい。

陶房 呑

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