【藤ごはん】
- 京丹波町
3色の色鮮やかな黒豆にぎり
丹波の黒豆は濃厚な味わいが特徴で、10月になると旬を迎える。時期が遅くなるにつれて味が濃くなり、豆本来の甘みとホクホクした食感で人気を集める。
京丹波町は夏から秋にかけて昼夜の温度差が激しく、しばしば「丹波霧」とよばれる霧が発生する。寒暖差が激しいと甘みが増し、丹波霧の冷却効果を受けることで、通常より大粒でおいしく育つという。京丹波町和知地区では古くから丹波の黒豆を使った「黒豆にぎり」が食されてきた。祝い事のある時には各家庭で作られ、集落全体に配られたという習慣が残る。地域の保存会によって作られる薄い紫色の黒豆にぎりは、炒った黒豆をごはんと一緒に炊いたもの。ごはんがうっすら紫色に染まる。さらに酢を加えると濃い紫色となり、白・薄紫・紫の色鮮やかな「藤ごはん」と呼ばれる。今では家庭で作られる他、地元の祭りなどの際に販売されている。安栖里グラウンド近くの加工所「ふるさと」では、地元の有志が集まり、伝統の味を守るべく活動を続けている。家庭では作られることが少なくなったこともあり、昔ながらの素朴さと優しい色あいの愛らしさから住民に喜ばれ、好評を博している。